センサーネットワークは、「状況を把握する」というユビキタス・コンピューティングの重要な要素技術です。温度・湿度・振動といった状況を把握するためのさまざまなセンサを必要な場所に点々と配置して情報を収集するために、小型で無線通信の可能な無線センサーネットワークが注目されています。センサーノードを至る所に配置することで、リアルタイムに環境の変動を知ることができ、多数のセンサーノードをネットワークで繋ぐことにより、広範囲に分散するセンサのデータから分布図を作成したり、異なる種類のセンサーデータを関連付けて状況を判定したりといった、従来の単体のセンサでは実現できなかった高度な処理が可能となります。無線センサーネットワークの応用範囲は広く、施設・設備の保守やエネルギーマネージメント、農作物や工業製品の品質管理、商業施設での顧客サービス、セキュリティ、健康管理等、人々の生活のあらゆる場面で活躍します。
■UWBアクティブタグII

UWB(Ultra-Wideband)とは、500MHz以上の広帯域な信号を低電力で送信する次世代無線方式で、他の無線システムとの周波数共用が可能であることから近年注目されています。UWBには大きく分けて、近距離高速のUWB(10mの距離で110Mbps)と、低電力で高精度測位を特徴としたインパルス型 UWBがあります。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所では、センサーネットワーク向けの無線方式として、後者のインパルス型UWBに着目し、開発を進めてきました。
「UWBアクティブタグII」(写真1)は、アンテナ、無線回路、マイコン、温度センサを単一基板上に実装し、超低消費電力(10年以上の電池寿命)、誤差15cmの高精度測位、10mの距離で10Mbps、30mの距離で250kbpsの通信性能を実現しています。また、T-Engineをプラットフォームとした小型基地局(写真2)は、UWB基地局としての制御機能を全て内蔵しています。
「UWBアクティブタグII」は、インパルス型UWBの特徴である測位機能を活かして次のような機能を実現しています。
●測距機能
二つの端末間の距離を高精度で計測可能です。ハイブリッド車や電気自動車の登場により、接近する車を検知する手段の一つとして注目されます。
●二次元測位機能
小型基地局を四方に配置した領域中に存在するタグの位置を高精度で知ることができます。平置き倉庫に置かれる物品の位置を自動で把握したり、市場などでカゴ車がどこにあるかを把握するといった応用に適用できます。広い空間の場合は、基地局をセル方式により拡張して配置することにより対応が可能です。
●三次元測位機能
高さ方向にも基地局を配置することによりその空間内に存在する端末の三次元位置を高精度で知ることができます。平面位置に加え、倉庫の棚のどの段に置かれているかまで検知することが可能です。
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写真1:UWBアクティブタグII
(小型:10x10x10mmと薄型:25x50x7 mm) |
写真2:小型基地局
(
180x135x40mm) |
■特定小電力アクティブタグ

「特定小電力アクティブタグ」(写真3)は400MHz帯の電波を使う無線センサーネットワーク構築用のノードです。アンテナ、無線回路、マイコン、及び多種のセンサ(温度、湿度、照度、加速度、落下)を単一基板上に実装しています。「特定小電力アクティブタグ」で使用されている特定小電力無線は、見通しで100mの通信距離を持ち、波長が比較的長く直進性が強くないため、人間程度の大きさの棚などを回り込む性質があり、障害物に強い特徴を持ちます。また、特定小電力アクティブタグにはμT-Kernelが搭載されており、マルチホップ通信のような高度な通信プロトコルも利用できます。

写真3:特定小電力アクティブタグ