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 TRONSHOW2010へようこそ


sakamura
トロンプロジェクトリーダー
坂村 健
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TRONプロジェクトではプロジェクト発足時に「どこでもコンピュータ」を目標に掲げたが、ユビキタス・コンピューティングに焦点をしぼった研究を始めてからまもなく8年になる。この間、uIDアーキテクチャの提案やそのuIDアーキテクチャに基づいた数々の応用プロジェクト――たとえば、食品トレーサビリティ、物流管理、自律移動支援、薬品トレーサビリティ、製品トレーサビリティなどなど――を多岐にわたり行ってきた。その結果、問題点も改善すべき点もいろいろわかってきた。そして今、いよいよ、ユビキタス・コンピューティングは実用の域に達しようとしている。

実用化例の一つとして、住宅用火災警報器のトレーサビリティがある。日本ではすべての住宅に火災警報器をつけることが2006年から法律で義務付けられた。既存住宅では当然火災警報器用の電源配線がないので電池式のものを設置することになるが、賃貸住宅の火災警報器の設置には、電池を適切に交換し機能を維持することを含め貸主が責任を持たなければならない。しかし、数も多く、供給先も一社でなくメーカの異なる同等品が混在し、中には転居時に火災警報器を持っていってしまう不届き者もいるなど、管理が大変である。

そこで、電池式住宅用火災警報器を作るメーカすべてに工場出荷時からucodeタグをつけてもらい、納入、施工からメインテナンスまで履歴を記録し管理するuIDアーキテクチャに基づいたトレーサビリティが財団法人ベターリビングによって2007年から行われている。すでに200万台近くの製品が出荷されているが、不都合な製品が迅速に回収できた、などその効果が報告されている。

さらに、東京ユビキタス計画ではucodeをつけたタグを銀座などの場所に配置して、外国人へのガイドや障碍者支援などの実験を行ってきた。この実験結果をもとに上野動物園や東京都庁のガイドは実運用され、はとバスでも観光客に対するサービスが定常的に行われるようになってきている。

2010年はユビキタスの本格的な実用がさらに広まる年だと思っている。実用域に達しているユビキタス・コンピューティングの世界をTRONSHOW2010で実感していただきたい。

そして、ユビキタス・コンピューティングを支えるのがT-Engineプロジェクト。T-Engineプロジェクトが開発したT-KernelはリアルタイムオペレーティングシステムTRONに基づく最先端の仕様であり、シングルプロセッサだけでなく、マルチコアのマイクロプロセッサまで幅広いレンジをカバーし、あらゆる用途に応えるものが用意されている。この根底にある考え方はオープンアーキテクチャ。オープンというのは情報処理の分野で最近クローズアップされているテーマであるが、TRONは30年近く前からオープンを目指して、しかもオープンの幅を広げてきた。T-Engineに関しても最先端の技術をご覧いただきたい。

また例年同様、コンピュータによる障碍者支援を考えるTRONイネーブルウェアシンポジウム「TEPS2010」を、「ユビキタス社会におけるユニバーサルデザイン」のテーマで併せて開催する。

最後に、開催にあたり、日頃よりトロンプロジェクトとT-Engineプロジェクトを支えてくださり、今回特別協賛をしてくださったアプリックス、NEC、サトー、大日本印刷、東京ミッドタウン、凸版印刷、パーソナルメディア、パスコ、日立製作所、富士通、矢崎総業、ユーシーテクノロジ、横須賀テレコムリサーチパーク、ルネサス テクノロジ各社に深く感謝するとともに、ご出展いただいた各社の皆様、ご協力いただいた皆様、そしてご来場いただいた皆様にも厚くお礼申し上げる次第である。

 

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